【要約】「<叱る依存>がとまらない」の内容をまとめてみた

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毎日毎日3歳の娘に怒ってばかりの日々…

kiriko

ときには怒っても怒っても気が済まない、いつまで経っても怒りの炎が消えない、そんな自分が嫌いでしかたなく「私おかしくなってしまったのでは?」と本気で悩んでいました。

そんなときに「<叱る依存>がとまらない」という強烈なタイトルの本が最近人気だと知り、「これは私のことでは!?」と感じすぐ読み始めました。

実際に読んでみて、人間が叱ることで快感を得るメカニズムになっていることなど衝撃を受ける内容も多く、大変勉強になる一冊でした。

怒りすぎのブレーキになってくれる本だと思うので、またこの先も定期的に読み返したいのですがただでさえ毎日バタバタだしもう一度読むのは結構大変!

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本は200ページにも満たないのですが、難しい言葉も多く私にはサクサク読み進められるものではないので余計にそう感じます…

なので、自分の備忘録も兼ね、子どもに怒りすぎてしまう自分を止めたいママ向けにこの本の内容をまとめてみました!

できる限りに簡潔にまとめようと思ったのですが、書き残しておきたい内容が多すぎて大変長くなってしまいました…
端的なまとめを箇条書きにして本記事の一番最後に載せていますので、忙しい方は目次の★【忙しい人はこちら】超簡単なまとめ★に飛んでください。

目次

そもそも「叱る」って何?

★「叱る」のは他者に変わってほしいために起こす行動の1つ

他者に変わってもらうために起こす行動としては他に、以下のものがあります。

・指導する
・説明する
・注意する
・指示する
・指摘する
・諭す
・言い聞かす 等

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どれも他人を変えてたくてする行動だとして、「叱る」とその他の行動との違いは何だろう?

「叱る」の意味を辞書でひくと下記のとおりです⇩

叱る : 相手のよくない言動を咎めて、強い態度で責める、声を荒立てて欠点を咎める

叱るには攻撃的なニュアンスが含まれているということです。

⇨叱る側が攻撃的になるのは叱られる側にネガティブな感情体験を与えるため。

つまり

「叱る」とは:
言葉を用いてネガティブな感情体験(恐怖、不安、苦痛、悲しみなど)を与えることで、
相手の行動や認識の変化を引き起こし、思うようにコントロールしようとすること

※ちなみによく「怒る」はダメだけど「叱る」ならOKなどという考え方もありますが、怒られようが叱られようが、ネガティブ感情が生じる点で、叱られる側にとっての体験として大きな差はありません。

なぜ「叱る」はやめた方がよいの?

叱るをできるだけ避けた方が良い第一の理由は倫理的、道徳的な物ではなく、
単純に効果がないから
そして効果がないわりに副作用としての弊害は大きいから

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なぜ「叱る」には効果がないの?

⇨叱られたとき(=ネガティブ感情が生まれたとき)、人は防御システムが活性化され、戦うor逃げるかの反応が起きる
そのため意識が話の内容にきちんと向いておらず、こちらのメッセージは届かないため。

つまり

ネガティブ感情のメカニズムを利用する「叱る」という行為に人の学びを促進する効果はない

「叱る」ことに効果があると錯覚してしまうワケ

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「叱る」と子どもは反省しているように見える…それでも効果はない?

⇨「叱る」に効果があると思ってしまうのは、ネガティブ感情の反応は即効性があるから。

ネガティブ感情の反応とは: 
<戦う> or  <逃げる>

戦うか逃げるかになった時、権力の不均衡がある状態で戦い続ける人は稀で、逃げる人が多い。

ここでいう<逃げる>とは、その場から逃げたい一心で相手の言う通りにすること謝ってみせること

ネガティブ感情が引き出されると、その状況の原因に意識が向かず、「この嫌な時間をどうすれば早く終わらせられるか」など苦痛から逃れるための考えでいっぱいになる

つまり

★叱られたときに子どもが学習するのは「どのように振る舞えばよかったのか」ではなく、「叱られたときにどうすればよいのか」と言うその場合凌ぎの対処法

「叱る」が効果を発揮する場合はないの?

叱るが効果を発揮できるのは、危機介入抑止力

目の前で起きているよくない行動を止めるための力があるということ。

なので、「叱る」は以下の場面では効果的と言える◎

・危険なこと絶対してはいけないことをしている人の行動を速やかにやめてほしいとき
・命の危険、誰かに危害が及ぶ一刻も早く状況を変えなければならないとき

「叱る」ことで気持ち良くなってしまう罠

「叱る」ことで人間にはこんなご褒美(=快感)があるとされています⇩

・叱る(自分の行動)で相手の行動を変えられた強い充足感を得られる自己効力感
・処罰感情の充足

そのため、本来的な目的が達成されてない状況が続いてたとしても叱り続けてしまう悪循環に陥りやすい。➡︎「叱る依存」

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いくら「叱る」が快感につながるとしても「依存」だなんてさすがに言いすぎでしょ!

⇨快感だけが依存症の原因ではなく、人は無意識的に自分自身の苦痛を和らげてくれるものに依存するようになる。

依存症のリスクは「受け入れ難い現実」であり、その現実を一時的であったとしても忘れさせてくれる快感や体験に人は依存しやすい

叱る依存への入り口は叱る側のニーズにあるのです。
(例:上手くいかない現実や低すぎる自己肯定感、他者への劣等感、多忙による慢性的な疲労、体調不良など)

▲こんな悪循環が起こり得る▲

①受け入れ難い現実を抱えている状況で「叱られる人」が「叱る人」の目に止まる⇨
②叱ることで状況が改善したように感じ快感を得る
③ただそれは幻の成功体験に過ぎず、「叱られる人」は本質を理解できてないので繰り返す
④一度忘れられた苦痛を呼び起こされたことでさらに激しく叱ることになる

さらに厄介なことに、強いネガティブ感情は記憶に残りやすくまた消えにくく、単にその時に苦痛を感じるだけの問題ではない。
叱られる人の人生に長期に負の影響を与えてしまう可能性が高い。

叱らなければしつけができないのでは?

★しつけの本質は「社会規範の獲得」

⇨これは1つ1つの行動やルールの意味、理由を考え、咀嚼することで自分のものにしていくことと同義。

主に知的な理解によって習得されうるものであって、人の「防御モード」を発動させる「叱る」や「罰」による効果は小さい。

「叱る」を手放すためにどうすれば良い?

①マクロな視点(社会全体)

★人は苦しまなければ変化・成長できないと言う誤った、そしてとても根深い、苦痛神話からの脱却

★そもそも処罰欲求が人間の生来的な欲求の一つであることを認識する

⇨食欲、睡眠欲などのように適切な満たし方を見つける必要がある。

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本来個人的な欲求である処罰感情が「相手のため」「社会のため」にすり替わると歯止めがかからず暴走する傾向があります。
そのため、”正当化された自分自身の欲求の暴走ではないか”と常に自問自答する必要があります。

②ミクロな視点(個人)

「叱ってしまう自分」に悩んだ時、最もよくある落とし穴が「叱る自分を叱る」ことです。

叱る依存の予防に必要なのは、禁止の発想ではなく「徐々に手放していく」発想です。

「叱る」を禁止して言いたいことを我慢してしまうようなやり方はあまり上手くいきません。

「叱る」にはやめようと思えば思うほど止まらなくなる悪循環の傾向があるからです。

成功イメージは、「気が付いたらあまり叱らなくなっていた」であって、「叱ることを我慢できるようになった」ではないのです。

「叱る」を手放していくための具体的な方法

前段階として、「叱る」を常態化させないためのコツ

叱るときの注意点⇨重要なのは「上手に叱り終えること」

※そもそも「叱る」が役立つ状況や用途はとても限定的

目の前の困った状況への「危機介入」  or  特定の行動をしないようにしてもらう「抑止」

上記2つに当てはまらないとき「叱る」意味があまりない。

そのため「叱る」を多用せず、あくまで危機的な状況への対応に限定することが望ましい。

その場合、問題となる状況がなくなった時点ですぐに「叱る」をやめなくてはいけない。

例)
・危ないところに登ったのなら、降りた瞬間に
・大きな声で騒いで迷惑をかけているのなら、声を小さくした瞬間に
・誰かを叩いてしまうなら、叩くのをやめた瞬間に

叱るという行為は、叱る人に興奮や快感を与えるため、もう叱らなくても良い状況であったとしても叱り続けることがよく起こる。

→それはもう叱る人のニーズを満たすための行為でしかないのです。

叱る自分を叱る必要はありませんが、叱り続けてしまわないように自制する努力は必要。

「叱る」の抑止力を上手く使う

苦痛を予想することで避けられるようになる⇨抑止の効果のメカニズム

予告なく叱ったり罰を与えたりしても抑止の効果は得られないため、どんなことをしたら叱られるのかをあらかじめ伝えておくことが必要。

ここで注意すべきなのが、抑止のための「叱る」は、ただ特定の行動を避けるようになるという意味の効果しかなく、望ましい行動を身につけることにはつながりにくい。

⇨そのため「何をしたら叱られるか」を伝えると同時に、
「どんな行動が求められるのか」・「何を大事に考えるべきなのか」など学んでほしい具体的な事柄を伝えることが大切になる。

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これらを「叱る」からの流れで伝えることはお勧めできません。
(ネガティブ感情で「防御モード」が活性化しているときは理解力が下がっているし攻撃的な気持ちになっているため素直に聞くことも難しいから)

「叱る」を自然に手放していくために必要なこと

まず、あなたが「権力者」であることを自覚しましょう

程度の差こそあれ、「叱る人」は何が良いとされ、何が望ましいのか、相手に求める「あるべき姿」を決めているのです。
「あるべき姿」と現実にずれが生じた際に、そのズレを正そうとして叱りたくなるのです。

だから「叱る人」に求められるのは、その「あるべき姿」”本当に適切で妥当なものなのか?”を常に考え続けることです。

知ってほしいのは、その「あるべき姿」は、どこまで行っても「叱る人」が望んでいる未来でしかないという事実です。

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「こうなってほしい」と言う願いが「こうあるべきだ」にすり替わり「叱る」と結びつくとき、それを誰が望んでいるのか、という主語が不明確になってしまうことが多々あります。

特に注意すべきなのが、それが「普通」「常識」「当たり前」と言う言葉とともに語られるような場合。
例)「普通はできること」「常識で考えなさい」「こうするのが当たり前」


⇨こういった発想が出てくると、それが「叱る人=権力者」が望む未来であると言うことが覆い隠されてしまうのです。

⇨本来叱る人の願望でしかないことが「叱られる人」の問題にすり替えられるのです。

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「叱る人」は権力者として、望む未来に責任を持たなくてはいけません。
「普通」「常識」「当たり前」などの言葉で自らの責任を誤魔化してしまうのではなく、堂々と自分を主語にして語ることが大切です。

そして当然、「叱られる人」にも本人が望む未来や、ありたい姿が存在しています

「叱る人」「叱られる人」のそれぞれが、自分を主語として、お互いの望む未来を大切にし、そこをなんとかすり合わせようとしている限り、「叱らずにはいられない」と言う状態にはなりにくくなります。
(一方的な権力の行使という構造ではなくなるため)

大事なのは主語を明確にすること、そしてそれぞれの「望む未来」や「ありたい姿」を互いに理解すること

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悩んだら「あなたはどうしたらいいと思う?」「この先どうなっていたら最高?」と相手に問いかけてみてください。
明確な答えが返ってこなくても大丈夫、あなたがお互いの主語の世界を大切にしていることがきっと伝わります。

「前捌き」を利用しよう

「叱る」という行為は、何か問題となる行動が起こるではなく、起こったにする行為ですよね。

「叱る」が常態化している場合、「言い聞かす」や「説明する」など、本来捌きとして行うべきことが裁きとして行われることが多いのです。

「前捌き」が上手くなるために最も必要なのは、「予測する力」

「叱る」という行為は、大抵「叱る人」の予測や期待が外れた時に起きます。(=よくない未来を正確に予測できたら「叱る」は確実に減っていく)

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でも予測力を鍛えるにはどうすれば良いのだろう?

⇨1番の近道は、予告する癖をつけること

具体的にはついつい叱ってしまう相手に「何をしてはいけないのか」・「どういうことを避けてほしいのか」など叱られないためのポイントを事前に具体的に伝えるのです。

そのためには、今後起こりうるありとあらゆる事態を予測することが求められます。

予測できないと予告することは不可能なので、予告を続けると予測力は自然に、そして確実に鍛えられます

最後に

叱る依存からの脱出のためには自身のゆとりを取り戻すことが最優先です。

「叱る」を繰り返してしまう時、多くの人は余裕をなくして視野が狭くなっているのです。

余裕がなさそうなら一旦時間を置きましょう。(=戦略的撤退)

今度は、叱りたくなるその相手をしっかり見て、その人の「内側の世界」を想像してみてください。

人は自分の人生しか体験できないので、他者を理解するときにどうしても「自分基準」で考えてしまう癖があります。

いくら考えてもうまくいかない時は、この自分基準を外すことで見え方が変わったり新しいアイディアが生まれます。

キーワードは「普通」「常識」「当たり前」

これらの言葉を使わずに、もう一度まっさらな目で起きていることを眺めてください。

★【忙しい人はこちら】超簡単なまとめ★

◆そもそも「叱る」とは、言葉を用いてネガティブな感情体験(恐怖、不安、苦痛、悲しみなど)を与えることで、相手の行動や認識の変化を引き起こし、思うようにコントロールしようとすること。

◆「叱る」には意味がない。
叱られている人間は<防御システム>が活性化され、戦うor逃げるかの反応が起きており、そんな状態では何も頭に入ってこない。

◆子どもの行動を変えたいなら、ネガティブ感情を与える「叱る」ではなく、「説明する」「指示する」「言い聞かす」など他の方法がたくさんある。(かつそちらの方が効果がある)

◆叱られることで”記憶に残りやすく消えにくいネガティブ感情”が生まれ、叱られる人間の人生に長期に及ぶ負の影響を与えてしまう可能性が十分にある。

◆「叱る」が真に効果を発揮するのは、危ない状況で今すぐ止めてほしいときのみ。(ex.道路に飛び出そうとしている、高いところに登ろうとしている等)

◆「叱る」側は、人間が叱ることで快感を得るメカニズムになっていることを自覚すべき。(=「子どものために」と言いつつ、”親のために”子どもを叱っている可能性がある。

◆「叱る」が常態化しないためには、<叱るという行為が叱る人に興奮や快感を与えるためもう叱らなくても良い状況であったとしても叱り続けること>がよく起こることを自覚し、叱り続けてしまわないように自制する努力が必要。

◆「叱る」側にいる人間は常に、自分の思う「あるべき姿」を疑い、本当にそれが妥当なのかを検証し続ける必要がある
「そもそも何で叱らないといけないの?あなたが思う『あるべき姿』は本当に正しいの?」と常に自分に問い続けよう。

◆「普通」「常識」「当たり前」という曖昧な言葉で根拠もなく自分自身を正当化してはいけない。

◆子どもに「何をしてはいけないのか」・「どういうことを避けてほしいのか」など叱られないためのポイントを事前に具体的に伝えることで、そもそも叱る必要のない状態を作り上げていこう。

◆そのために今後起こりうるありとあらゆる事態を予測し予告する癖をつけていこう。


親としてすごく勉強になったし、これまでの人生で自分自身が「叱られる側」として感じてきた違和感なども腑に落ちました。

kiriko

興味がある方はぜひ本も読んでみてください👇

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この記事を書いた人

元金融系OL→元駐妻→現専業主婦(神奈川在住)

日々お得を探し求めながら、初めての育児に奮闘中のアラサー主婦

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